「ウマ娘」でも人気キャラ、菊花賞を制した名馬たち。魅力あふれる名レースを振り返る

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Sankei Visual

 3歳馬による三冠レースの最終戦、GⅠ菊花賞(阪神・芝3000m※通常は京都開催)が10月24日に迫ってきた。このレースは、三冠の中でも「最も強い馬が勝つ」と言われており、過去の勝ち馬を見ても、時代を代表する名馬がずらりと並んでいる。

逃げの戦法で鮮やかに勝ちきったセイウンスカイ逃げの戦法で鮮やかに勝ちきったセイウンスカイこの記事に関連する写真を見る ちなみに、三冠初戦の皐月賞は「最も速い馬が勝つ」、2戦目の日本ダービーは「最も運のある馬が勝つ」と言われてきた。

 そんな菊花賞の勝ち馬たちは、アニメやスマホゲームとして展開する「ウマ娘 プリティーダービー」でも人気キャラとなっている。たとえばライスシャワーやビワハヤヒデ、セイウンスカイにゴールドシップなど。

 そこでこの記事では、ウマ娘を切り口に菊花賞の名レースを振り返ってみたい。

 まずは1992年のライスシャワーが勝った菊花賞だ。ウマ娘におけるライスシャワーといえば、自分を「周りを不幸にする存在」と責めたり、ヒールキャラになることを恐れたり、自分がレースを勝っても"誰も喜ばない"と苦悩する。

 そんなキャラ設定は、競走馬・ライスシャワーの成績が関係している。ライスシャワーは現役時代、たびたびライバルの大記録を阻止。そのことから「黒い刺客」や「ヒットマン」と呼ばれ、主役を打ち負かす存在として扱われることも多かった。

 そして何を隠そう、ライスシャワーが初めて大記録を阻んだ舞台が1992年の菊花賞だった。この年、皐月賞と日本ダービーを逃げて圧勝し、三冠達成にリーチをかけていたのが同世代のミホノブルボン。菊花賞では単勝1.5倍と断然の1番人気に推され、京都競馬場は三冠馬誕生ムードに満たされていた。
 
 それを打ち破ったのがライスシャワー。春のダービーではミホノブルボンから4馬身差の2着と完敗していたが、持ち前のスタミナを武器に3000mの菊花賞で逆転した。レースではミホノブルボンをライスシャワーの黒い馬体がぴったりマークし、最後に交わしたのである。その瞬間、京都競馬場は異様な空気に。まさに「黒い刺客」が定着したレースだった。

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