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フリーアナウンサー・川田裕美さんがフリーになる時に大切にしたこととは? 【仕事の景色が変わった日】

フリーアナウンサー・川田裕美さんにインタビュー。独立と上京という大ジャンプで環境の変化や新しいステージだけでなく、それまでに築いたキャリアとその先の未来とをしっかりつないだ、丁寧なステップについて。

遠いゴールよりも、目の前の決断を大事に

川田裕美さん-1

30歳目前で、ふと今後のキャリアについて考えた

情報番組のMCやラジオ番組のパーソナリティ、バラエティ番組への出演や自身のYouTubeチャンネルなど、幅広いジャンルで活躍する川田裕美さん。大阪出身の彼女が東京にやってきたのは31歳のとき。読売テレビを退職し、フリーになるタイミングだった。

「会社や番組に不満があったわけではまったくないんです。ただ、30歳になる直前、お風呂に入っているときにふと『私、これからもずっと同じ場所で仕事をしていくのかな』と思ってしまって。違う仕事をする選択肢もあるかもしれないと思い、何にワクワクするのか一から考え直そうと思ったんです」

大好きなフランスやイギリスへの語学留学、ドッグトレーナー、スイーツに関する仕事など、様々な可能性が浮かぶも、やっぱり頭から離れなかったのはアナウンサーの仕事。

「これまで積んできたキャリアを手放すことが、惜しいという気持ちは正直ありました。それに、アナウンサーの仕事も、私にとってはワクワクできる大好きなことのひとつ。まだ挑戦したことのない東京に身を置いて全国で仕事をしてみるという選択なら、経験も生かせて、新しいことにも挑戦できる。『これだ!』と思いました」

仕事をするときの川田さんは「インタビュー前に100個の質問を準備する」「番組を受け継ぐときは、前任者を完コピする」など、とにかく準備を欠かさない慎重派。「独立して仕事の幅を広げたい」という思いはあったものの、具体的なビジョンも東京に住んだ経験も、東京のアナウンサー友達もいなかった。どんな事務所があるかも知らない状態で退社を決めたのは、かなり大胆な行動だったようにも思えるけれど……。

「新しい挑戦をするときには、少し大胆さがないと踏み出せないかもしれないですね。本当にやりたいと思ったときは、誰かに背中を押されなくても行動してしまう。勇気を出して自分で決断することは、選択に責任を持つためにも大事にしたいと思っています」

信頼できる番組プロデューサーからの紹介で、無事、現事務所に所属。東京で仕事を開始したものの、組織を離れることの厳しさにも直面した。

「会社員時代は週5日必ず仕事があったし、番組が終了しても、次の番組が用意されていた。その環境に慣れていたので、仕事が週1〜2日しか来なかった最初の頃は、すごく怖かったですね。自分の仕事を見てほしいと思っても、機会が与えられないと何もできない。何度もチャンスを与えてもらえる会社員との違いを感じました」

川田裕美さん-2

宮根さんから教わった フリーになる上で大切なこと

しばらくすると軌道に乗り、順調に仕事が増えていった川田さん。その背景には、「情報ライブ ミヤネ屋」で共演していた、フリーアナウンサーの先輩でもある宮根誠司さんの教えが。

「フリーになることを宮根さんに相談したときに、『今の会社を大切にしなさい』と教えられたんです。当初はどういうことかわからなかったけれど、色々考えた結果、退社してもみんなに『川田、頑張ってこい!』と言ってもらえるように、そして、自分自身も恩返しができるように、いい関係を続けることだと思いました。もちろん、退社をする前に所属事務所を決めることも悪いことではないのですが、私はまったくの白紙の状態で、上司や社長に退社の意志を報告しました。正式に辞めることが決まるまでは、転職活動を控え、筋を通そうと思ったんです」

フリーになった直後も、現在も、古巣の読売テレビから仕事のオファーをもらうことが多いとか。

「『今度、新しい特番があるから、川田に声をかけてみようか』などと思ってくれるのは、きっと私をちょっと心配しつつ、応援してくれているから。お世話になった会社を大切にすることは、もしかしたらフリーになる上で、いちばん大事なことかもしれません」

高いアナウンス能力やスムーズな番組進行だけでなく、今では“運動が苦手な人”というイメージも定着。バラエティ番組などで全力で披露する、独特なスキップも大きな話題になった。

「サポートすることや情報を伝えることだけではなく、自分自身を表現する場が増えたことは、すごく嬉しかったです。今も昔も変わらない仕事のモチベーションは、いちばん身近な家族を喜ばせたいという思い。スキップをする姿を見て大笑いしてくれていますし、『元気な姿が見られて嬉しい』と喜んでくれることが支えになっています」

フリーになると、仕事を受けるか、受けないかの判断も自分自身ですることに。その基準も、やっぱり家族。

「もしも人のことをちょっと悪く言ったり、不平不満を強めに言ってほしいと言われる企画があったとしたら、きっとそれは親を悲しませることになるはず。私らしくないし、できないだろうなと思います。会社を辞めるときはもちろん、フリーになってからも家族という軸がぶれることはなかったし、これからも守っていくと思います」

選択する上での軸があればこれからも迷わずに進める

第1子妊娠とコロナ禍による在宅期間が重なったことから、開設したYouTubeチャンネル。当初は撮影から編集まですべて自分でこなすなど、新しい挑戦を常に続けてきた川田さん。今後の目標やビジョンを尋ねると、フリーになったときのように「具体的なことは何も決めていない」と笑う。

「会社員時代の先輩が教えてくれたんです。『目の前にあることを一つひとつ選択していけば、思ってもみなかった場所に行けるよ』って。5年先、10年先のことは、考えても答えが出ないじゃないですか。私はいつも最悪の想定をする癖があるのですが、今までその想定を上回ったことはありません(笑)。遠くの目標がなくても軸をぶらさずに選択していけば、これからも迷わずに進んでいけるはず。軸っていうと大げさに聞こえるかもしれないけれど、私みたいに『身近な人を喜ばせたい』という意外に簡単なことだったりもするんですよね。これから先どんな未来が待っているのかワクワクしています」

川田裕美さん

フリーアナウンサー

川田裕美さん


かわた ひろみ●1983年6月22日生まれ、大阪府出身。2015年に読売テレビを退社し、フリーに。自身のYouTubeチャンネルでは、妊娠・出産・子育てについて積極的に発信している。『あんことわたし 日日大あん吉日』『東京あんこ巡り』『ゆるめる準備 場にいい流れをつくる45のヒント』などの著書も。「作曲家をしている夫は私と同じ大阪出身なので、家の中は小さな大阪(笑)。以前、東京は“挑戦する場所”、大阪は“帰る場所”でしたが、家庭ができたことで、今では東京もホッとできる居場所になりました」

撮影/目黒智子 ヘア&メイク/井生香菜子 スタイリスト/イケガミジュンコ 取材・原文/松山 梢 ※BAILA2023年2・3月合併号掲載

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